リストラとは、英語のRestructuring(リストラクチャリング)の略語で「再構築」が本来の意味なので、文字通りCastPuzzleのリストラが断行されている。

難易度に、ひらめき指数・論理指数を追加して総合難易度と変更する以前に、簡単で売れ行きが悪いのだろうと見当がつく六品を廃盤としたことに続く残念な流れである。それにはキャスト キーも含まれていて寂しい思いをしたものである。

いつの間にか、キャスト キュービーとキャスト ディスクの名前が消えたと思っていたら、今度は一挙に九品が廃盤となるという。
2015年4月現在の業者用カタログによると、以下の商品を『在庫限りで廃盤となります。予めご了承ください』としている。言葉を替えれば「廃盤に付き在庫限り」である。

それは、CAST VORTEX、CAST BAROQなどでお馴染みのAkioYamamoto氏の作である旧マリンシリーズをリニューアルしたキャスト シーブルーム、キャスト シャーク、キャスト クロー、キャスト スターフィッシュ、キャスト リーフ、キャスト シーホースの六品。

更に、CastPuzzleの立役者である芦ヶ原伸之氏の「Nob's Last Present」と刻印されたキャスト プレート、2009年に発売開始されたキャスト メダル、キャスト ホースをより難しく改良したというキャスト ダブル・ユーの三品である。

キャスト ヘキサゴンに同封されていた2014年12月現在のリーフレットには上の九品は掲載されていた。しかし、実はもう2年前の2013年7月には「2013-2014 Puzzles & Games Catalog HANAYAMA」にて告知されているという情報もある。知る人ぞ知る既定事実だったのである。

一ロットでどれくらい作製するのか知らないが、売れない商品は本当に売れないのだろう。漠然と想像している数より一桁少ないのかも知れない。メーカーの本当の狙いや苦労は当事者にしか分からないけれど、綺麗事を言ったり聞いたりでは済まない状態に陥っているのは確かな事実であろう。

平和が訪れた19世紀末のイギリスでパズルブームが起こったという。それから一世紀以上が経過し日本で生まれ洗練されたパズルが姿を消していく。 「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」。

・・・輪廻転生・・・。いつの日にか、とある処で復活する暁には、その原品はたとえメッキが色褪せ輝きは失われても金属の存在感や重厚感が新鮮な驚きで受け入れられるだろう。それと共に、アナログの優しさと背後にある文化の豊かさや多彩で細やかな造形が再認識されるに違いない。

とりあえず、愛蔵用に廃盤のなかでは一番のお気に入りのキャスト シーホースは確保した。今は新CastPuzzle プレミアムシリーズ〜チェスパズル〜を手に入れるよりも、欲しかった廃盤品を確保することの方が賢明な判断だろう。何故なら在庫切れは突然、確実にやってくるのだから。