2015年09月13日

φ1.000mm鋼球の圧入と低重心のインパクト精密コマ NEXT-CHRONUS(クロノス)。

 
 CHRONUSとは「時間の神」の意で、chronometer(クロノメーター)やsynchronize(シンクロナイズ・同調、同期)もクロノスに由来するという。メーカーのネクストは回転時間への自信から名付けたと発表している。

精密コマ
 形状で特徴的なのは、外周に質量を寄せ極端に重心を低くした特異な姿であり直径は19.9mmで質量は21g。ちなみにウラヌスは18.9mm14gで、重厚であることが長時間より安定的に回る結果に繋がっていることは素直な驚きである。勿論軸のローレット加工もウラヌス同様施されている。

NEXT
 ステンレス(SUS303)丸棒から一体削り出した本体は、センター軸に対する振れを数ミクロン以下に抑えたとされる。そのボリュームのある切削した金属独特の質感は格別であり、全体から醸し出す丁寧で緻密であり精密な加減は言葉では尽くせぬ魅力を秘めている。

 CHRONUS
 他の精密コマには無い大きな目玉が、回転を支える先端部の処理であり、φ1.000mmの高精密の焼入れ処理されたステンレス鋼(SUS440C)球が圧入されている。それにより、硬度は2倍となり耐久性が大幅に向上しているという。当然平坦性や真円度も段違いであろう。

丸棒削り出し
 NEXTの精密コマを知ったのは最近で、最初に購入したのは同じステンレス丸棒削り出しでも正統的なウラヌスである。その時クロノスも知らなかったわけでは無い。しかし、クロノスより価格の安いウラヌスを選択したのは始めと同時に終わりになるだろうという予感があったからである。

URANUSUとCHRONUS1
 ウラヌスには不思議な魅力があった。童心に返る懐かしさとは違うと思う。回転時間も満足するものであり、メーカー確認時間の4分は余裕であった。個体差は当然あるだろうが、多分当たりだったのだろう。公式記録にも迫る勢いのある姿は美しかった。シンプルな機能美である。

URANUSUとCHRONUS2
 更なるステージへ。それは当然の欲求であった。そしてクロノスは、その要求を難なく乗り越えた。より永く、より静かに、より無駄なく、より輝き、より鮮やかに。

ステンレス鋼球圧入
 コマを回し始めた時の動きを「みそすり運動」と言うらしい。正式には「歳差」。それを経ると不動である。回っているが不動不振。一瞬一刻が永遠の流れに溶け込む不可思議時空である。

ネクスト
 現在のクロノスの最高回転記録はなんと9分54秒である。新たな記録を打ち立てるには10分近く回さなければならないのである。その前のタイムは8分16秒なので、挑戦する意欲が湧くものであったが流石のクロノスでも10分のハードルは高い。工夫と精進と継続で届くものなのかは神のみぞ知るであろう。

岡谷
 鋼球で高級なコマを生み出すNEXTのある信州の岡谷市は、東洋のスイスと呼ばれるように時計などの精密機械加工が盛んで、その技術には確かな背骨と気骨が根付いていたのである。
 

posted by 工房藤棚 at 15:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | コマ・独楽
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