今週号の週刊文春の「元少年Aを直撃!」の記事、「元少年A、33歳」の写真に衝撃を受けた人は多いだろう。現実に〔酒鬼薔薇 聖斗〕と名乗った男が生きていること、その上現在も危ういこと、転居を頻繁に繰り返しているということ、それは誰もが隣人となったり利害関係が生ずる可能性を示している。
殺害された当時小学六年生男子の父親の告白が痛切である。『息子が殺された描写を読みたいという親がどこにいるのでしょうか。今でも手記は読んでいません。淳はこれによって二度殺されたようなものだと感じています』。
加害者は一度も罪を償っていない。一度目は、少年法に守られて矯正教育という名の人体実験を受けたのみである。二度目はご存じの通りの確信犯で反省も謝罪も救いも一切ない。今回の記事に「更正の妨げになる」との批判があるらしい。全てが加害者目線・視線である。
希望を自ら捨てた者が何を起こすのかは、もう誰にも分からない。本人にもそれは見えないだろうし、普通に暮らしている人でさえ心の闇は深く一筋縄にはいかない。矯正教育に従事した多数の関係者、出版をそそのかした幻冬舎の見城氏、実際に本を発売した太田出版、彼らは責任を免れられないし真摯な対応が必要である。取り返しがつかない事が起きてからでは遅いし弁解は無用である。
タイトルのイメージはニッポン放送「テレフォン人生相談」加藤諦三氏のメッセージより。