熊本地震が猛威を振るったのは先月であるが、あれから随分時間が経ったような気がする。光陰は矢の如しである。
4月14日に発生した震度7の大揺れの後、16日の未明にはそれを上回る規模の地震が発生した。それは、本震・余震という常識を覆したものであった。これまでは本震が発生後、しばらく余震と呼ぶ揺れが続くことがあっても、本震を上回る規模の地震が起こることはなかった。
けれども、本震も余震も人が勝手に決めている定義で、地震が「これは本震です、これからは余震です」と教えてくれているわけではないのは当然である。
所詮、百年程度の近代観測の常識とは、地球や宇宙のスケールでは一瞬である。それを地震は予知できるような幻想さえ抱いた現代の日本人は滑稽である。
南海トラフ地震の恐れを杞憂とは言わないが、「知らぬが仏」も一理である。東海大地震の予知や対策に費やされた篦棒な税金は生きたお金の使い方だったのだろうか。悪意はなくても軽薄で不遜な常識は危ない。