2016年08月28日

風、調、偽、似非、擬き、紛い、からくり箱 漆ブラックまたはレッド。

 
 ハナヤマより、からくり箱「ダイスホワイト」、「漆ブラック」、「漆レッド」が新発売になっている。

からくり箱
 本当の漆塗りとは思ってはいなかったが「漆ブラック」を手にして色々な言葉が浮かんだ…漆風、漆調。
 悪気を込めて…偽漆、似非漆。
 普通の感想…漆擬き、漆紛い。

漆ブラック
 何故、からくり箱の開け方、閉じ方を公式サイトにおいて商品説明の下図(げず)の珍妙な日本語で晒し、外箱にまで図示するのだろう。その商品説明『職人と知恵比べしてみませんか?』が空しさを募らせる。更にその解は一例であり唯一解ではないときては予約した人の落胆度合は計り知れない。

 からくり箱の仕掛けは他のパズルとは質が違うから、必要な人だけ見られる解答図を付けるのは理解できるが、公開するのは正気の沙汰ではない。話がついているのかは知らないがオリジナルに対しても失礼である。

からくり箱 漆ブラック
 商品名も最低でも漆風、多少の見識があれば漆擬きだろう。
 旧キャストパズルの一部を廃盤にし始めた頃から目立つ迷走が続いているHANAYAMAでは一体何が起きているのだろうか。
 

posted by 工房藤棚 at 12:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | パズル

2016年08月22日

公式アプリ「倉庫番Touch」Ver2.1 独断と偏見のBEST10。

 
 スマホのゲーム「倉庫番Touch」は、1982年からの歴史を持つ超ロングセラーの本格派思考パズル「倉庫番」の公式アプリである。

倉庫番Touchスタート面
 目に負担が掛かるのでスマホは勿論パソコンでもゲームはやらないようにしてきたのだが、「倉庫番」は特別だと試したら矢張り辞められない止まらないとなってしまう。その上クリアしても最短手順への挑戦が思いのほか熱くなるのであった。

面選択
 基本は無料で遊べるのだが有料の面もあり、最新のVer2.1.0は無料の20面/セットが10セットと「英字倉庫おためし6面」で206面、有料面が7セット*20面で140面、合計346面が実装されている。

BEST4スタート
 解答は当然ないのだが、1面110円を支払えば教えてくれるけれども、有料面でも20面/セットが110円なのでかなり割高と感じる。倉庫番は気力と時間とそれなりの経験があれば必ず解ける(と思っている)ので、長年の積み重ねの土台がないとビジネスとしてはなかなか厳しいのではないだろうか。そんなことよりも普通は難敵に対して肝心の気力が続くかどうかであろう。

BEST4クリア
 空き時間を見つけてコツコツと全面を自力で攻略できたので、言い古された言葉であるが独断と偏見でベスト10を選んで紹介したい。選出基準は、1.難しかった、2.適切な大きさの面、3.美しくて洗練されているかを重んじた。

BEST3クリア
10位 「リベンジ+ #1」 No.07 境界線
   初心者が倉庫番の楽しさと面白さと深さを実感できる面。

9位 「パーフェクト+ #1」 No.18 おっとっと倉庫番
   初めの頃かなり苦労した面なので印象が強いけれどもベスト10入りには異論が多いだろう。

8位 「英字倉庫」 No.7 謎の倉庫
   最初の一手を発見できなくて、もどかしい時間が続いた。それ以降も倉庫番らしい注意が必要である。

7位 「リベンジ+ #1」 No.17 LogicRoom
   硬直した思い込みと決めつけが堂々巡りを誘う。素直さが新鮮であった。

6位 「パーフェクト+ #3」 No.17 田の字固め
   完成形を崩して難しい状態を問題にしたのだろう。これを自力で解けるとかなり自信になる。

5位 「閑話休題(辛口)」 No.20 やがて笑顔が(改6)
   一つの壁を打ち破ることが必要な難しさ。簡単ではないが諦めてはいけない。その挑戦は脳が鍛えられるのを実感できるだろう。

4位 「いっぱいいっぱい」 No.17 敵はお前だ!
   形も解も「美しければすべて良し」の見本。この解法を見つけた時の感動は忘れない。難しさを別にすればベスト倉庫番である。似た雰囲気を持つ『「パーフェクト+ #2」No.01 棺と十字架』もお薦めでかなり手強い。

3位 「パーフェクト+ #3」 No.20 ホロン構造2
   曰く言い難くジックリとくる難しさである。理不尽ともいえる無理筋には流石に解答を見なければクリアは無理かなと諦めかけたほど。しかし継続は力也である。

BEST2クリア
2位 「英字倉庫おためし6面」 No.03 ハコミンC
   「倉庫番」の生みの親である今林宏行氏も解けていないという触込みの面。考え抜いてようやく閃いた一手からの鮮やかな展開はゴールへ一直線ですこぶる快感。現在の最短手順数は135。

倉庫番Touch BEST1スタート
1位 「パーフェクト+ #3」 No.18 ビザンティン様式
   名実共ベスト1に共感する人は多いと思う。美しさと難しさと格好良さ。これをやらずして倉庫番を語るなかれ。ここに倉庫番の全てが凝縮している。

倉庫番Touch BEST1クリア
 今後も定期的な面の追加と、上のBESTを越える素晴らしい面に出会えることを期待したい。試して挫けても諦めないで、なお挑戦し続けた時間に比例する面クリアした時の達成感や爽快感は、脳を刺激している実感と経験値が上がる喜びを伴っていて、その魔力と魅力は更にパソコン版にも挑戦しそうな勢いで恐い。
 

posted by 工房藤棚 at 19:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | パズル

2016年08月06日

罠か王道か、はずる第3弾キャスト インフィニティ。

 
 キャストパズルが「はずる」シリーズと衣替えしてからの第3弾はレベル6の「キャスト インフィニティ(CAST INFINITY)」である。ハナヤマからは公式なアナウウンスはなかったが当初はキャスト ダイヤモンド、キャスト ケーキと3作同時発売予定であった。それがインフィニティだけ8月6日発売予定となって心配していたが無事手に取ることができた。

キャスト インフィニティ
 ∞マークのインフィニティとは、無限とか無限大の意で、電気保安業者が絶縁抵抗を測っていて計測値判読以上はインフィ、インフィと読んでいたのを思い出した。
 日産自動車の北米などでのブランドや、コーセーの化粧品シリーズ名などに使われるように曰く言い難い格好良さがある。

CAST INFINITY
 キャスト インフィニティの形はまさに∞であり、外箱の『はずすまでの動きもはてしなく続くことから命名した』自信作は本当に久しぶりとなる難易度6を誇る。
 調べてみると、初めは難易度5で発売されレベル6に格上げされたキャスト ヴォルテックスが2008年、反対に難易度6で売り出されたが途中からレベル5となったキャスト スクエアは2010年の販売であるから、ゲームレベル6を名乗るハードルは容赦なく高いしメーカーも安易な妥協はしていない。
 それにしても、人によってはキャストパズル最難関と呼ぶキャスト ヴォルテックスが当初レベル6ではなかったように、あまり数値にとらわれる必要はないのだろう。怖れず・侮らずが愉しむ秘訣である。

∞
 シンプルでスマートな新作は、フィンランドのパズル作家Vesa Timonen氏によるもので、キャスト ループやキャスト ドーナツ、キャスト シリンダーなどを手がけている気鋭である。個人的に比較的新しいパズルの中では好感度一二を争うキャスト シリンダーの生みの親によるものだから期待は一層高まる。

無限
 予想通りの無駄に大きくもなく、小さ過ぎることもないメッキ仕上げの2ッの円形を取り囲むケースに入った不思議物体にはどんな手掛かりがあるのか興味深かったが、納得の動きと推理を働かせる面白さを秘めていた。
 コロンブスの卵ではないが、斬新な発想とデザイン、それが難しいパズルとして成り立ち、なおかつ美しくてお洒落で外連味のなさは「はずる」シリーズの新しい代表作と評価されるだろう。

はずる
 それは、殆ど探ることができない迷路か。2重、3重の怪しい溝と突起が単純な迷路でないことを物語っている。上下の動きは何かに阻まれる以外は自由である。暫くすると仕掛けの見当はつくがそれだけである。道なき道はどれほどの正しい選択眼を求めてくるのだろう。

HANAYAMA
 「はずる」パズルは商品名と会社名が別々のパーツに加工されることが多い。しかし、今回はINFINITYとHANAYAMAは同じ部品に記されている。それを意地悪ととるか、見識の高さととるか。はたまた、その路を罠ととるか、王の行く道ととるか。

インフィニティ
 絶望が希望と変わる瞬間は突然にやってくる。キャストパズルが「はずる」シリーズに変わっても、外して元に戻すこと。そこにこそ醍醐味と達成感があることは変わらない。それはキャスト ダイヤモンドとは大違いで、キャスト インフィニティを始めから外した状態で渡されて初期状態に戻せる人は稀有なパズルセンスの持主で称賛に値するだろう。

CastPuzzle倶楽部
 希望はじっくり噛みしめなければならない。「そうきたか」と味わう余裕がなければならない。王道を往く者は諦めてはいけないが、焦るのはより禁物である。冷静な感激のみが帰り道を確かな道とする。それは誰も無限の時間は持ち合わせていないのだから。

追加

追 記   --- 2016年8月6日 23:00 ---

 実は残念な報告を書くことにする。
 本来想定していたと考えられる手順より近道が見つかったのである。
 上の『「そうきたか」と味わう余裕』云々は、その近道を指している。商品のばらつき等により現在のバージョンが全て可能かは分からないが、充分クリアと呼んで問題ない程度だと思う。キャスト エクアより違和感のないレベルだろう。
 戻す行程で試行錯誤していたら、鮮やかなクリア方法を発見し、本来はこんなにスッキリして洗練されたパズルだったのかと驚いた。持ち方にもよるが外れる瞬間抜け落ちるほど力は一切使わないものだからAmazonさんのように怪我なんぞしたくてもできない。されどショートカットも捨て難い。
 それは、東京から旅立ち大阪を目指していたが、意味もなく名古屋で目的を果たしてしまったような結末で、パズルの価値を大きく損なうものである。現在はほとんどの人がそれをゴールと理解しているのだろう。何故なら安易な近道なのだから。
 その意図しない道を防ぐには、より遊びを無くし精度を高め無駄を埋める必要があるだろう。それでパズルとして成り立つのかは、かなり困難な気もするけれど対応が必要なのは当然である。
 新しい対策品はかなりシビアな操作を求め、ある程度理解しないと果てしのない旅を余儀なくされるだろうが、それでこそ難易度6である。そもそも曲がりくねっていても一本道では意外性は少ないし、罠は罠と悟られないからこそ罠である。

 かなり自由に操れるようになってきたので、それを踏まえた感想を追加すると、ヒントになってしまうがとてもリズミカルな動きが印象深い。

 クリアした時に「そうきたか」と感じた人は、納得の本来の手順も探して楽しんで欲しいと願い、また改良を期待して記した。

再度の追記

 再度の追記 --- 2016年8月11日 22:00 ---

 某掲示板での余りの評判の悪さに、それほどかと不審に思いもう一度確認したら事態は更に厳しい状況であった。
 上の東京からの旅の例えなら、はやくも新横浜で下車である。それは巧みに操れば簡単にできてしまい外れることに疑問の余地はない。この手数でクリアしていたら難易度6でなくても悪態をつくことは当然で十分理解できる。
 外せた人は一体どの駅で降りたのだろう。勝手な推測では新横浜6割、名古屋3割、大阪1割程度か。評価が割れるのは当然である。また、途中下車した人達は元に戻せているのだろうか。実は正規に外した方が手数は掛かるが一番戻しやすい。

 簡単過ぎると感じている人は、折角だからINFINITY∞と刻印してあるリングが先に外れるのは別解だと諦めて、それは外れないものとして再び挑戦したらどうだろう。仕掛けが分かっていても意外に手こずり少しはインフィニティを見直すことができるかもしれない。

 メーカーとしても発売前にはテストを繰り返しただろうが、余りにも残酷な結果である。それは許せる範囲をはるかに超えている別解であり、特に今回記した解法は担当者の血の気を失なわせたものだろう。
 都合のよい先入観や思い込みがあると見えるものも見えなくなってしまう典型であり、何事も焦らずに念を入れた慎重な確認が大切なことを教えている。
 発売延期や外箱の説明文のシール貼りを見ると随分と無茶な開発時間だったのだろうか。卓越し斬新なアイデアとデザインの素材であるからより残念である。

 結局、この感想もチグハグで大袈裟な上に支離滅裂と思われただろうが仕方がない。HANAYAMAはキャスト インフィニティを華麗に生き返らせることができるのかパズルメーカーとしての力量を問われるが、それは直ぐにでも成し遂げるに違いないと信じて待ちたい。


 更に、2016年10月5日追記

 最新版の購入レポート「安心して下さい。別解は解決してますキャスト インフィニティ。」も御覧下さい。 
 

posted by 工房藤棚 at 10:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | HUZZLE・CastPuzzle
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