昔から将棋は好きだったが、その駒を自分で作るという発想はなかった。少し前の新聞に、固い仕事をしている人が将棋駒を年何組か作っていて無心になれる時間が楽しいような記事を読んで触発された。
早速、Amazonで調べるとうってつけの一冊を見つけた。「将棋駒の世界」 著:増山雅人である。カラー版の中公新書で創作意欲を大いにそそられた。この人の号は「酔棋」で、そのホームページ「
駒の詩」は内容豊富であり流石の充実ぶりである。
ネットでDVD「
駒を作る」 制作・販売元:駒研出版会もあることを知り、入手して観てみると簡単ではないが無茶な挑戦でないことも見当がついた。ただ一つ云えることは上手な人の動作は難しく見えないことを差し引かなければならない。
同封されていた案内により材料・道具が全て揃った「彫り駒セット一式」¥14,000を注文し、素人将棋駒師の一歩を踏み出した。

書体は菱湖で、練習用駒型木地に挑戦したが、最初の感想は「少しばかりの器用さでは通用しないかもしれない」であった。けれども三枚、四枚と続けるとこれが結構楽しい。上達する喜びとか、工夫する過程、夢中になる感触が快い。

上記の「彫り駒セット」には、黄楊で板目の駒形木地(御蔵島産・薩摩産選択可)¥5,000が含まれているのだが、これはかなりの品質で初心者が10枚程度の練習でチャレンジするのは無謀というより無駄な気がしたので、「
ねこまどShop」にて「
駒木地40枚セット」¥1,728を購入して駒一式を作ってみた。材質はイタヤカエデでサイズも微妙に小さいのでかなり見劣りするが習作には十分である。

一応は駒の形にはなったが、道は遙かで果てしがないのは理解できた。ただ、まだ一作である。初めから巧くいったら高が知れている。そして、ある程度経験を積めば、それなりのレベルになる感触も得た。あとは感性とか感覚が問われるのだろう。それよりなにより大事なのは、飽くことなく気力や興味を持続してゆっくりじっくり丁寧に腕を上げていくことなんだろう。
posted by 工房藤棚 at 19:39
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