上手くなるためには沢山作ることが間違いない秘訣であると信じている。それから、牛歩で高い意識を持ち続けることができるか心配もある。

将棋駒作り第二作の書体は錦旗を選んだ。「錦旗で始まり錦旗で終わる」といわれるように、非常に正統的・伝統的なものである。敢えて癖を探せば「角行」の角の最後の縦棒がかなりの右寄りであることであろう。手掛ける前は今一つ魅力を感じなかったが外連味のなさが妙に気に入ってしまった。

少しづつ、丁寧に、を心掛け毎日一枚か二枚。休みの日も多くても四〜五枚しか彫れない、または、彫らない状況でようやく第二作目が出来上がった。色々な意味で負担にならないためにはこの程度のペースが最良かもしれない。

その出来は、間違いなく上達しているのだが、残念なことに歩みはのろい。彫りの線を綺麗に仕上げることは初心者にとって一番の課題となるのだろう。丁寧と流麗は相反はしないのだがそれぞれの加減は微妙であり、仕上がりの統一性には僅かな狂いも大きく響いてくる。

字母紙の貼り付けは、慣れればかなり上達する。要は糊の加減が大きい。意外と難しい面取りも注意深く数をこなせばコツを掴める。そうして諸々の精度を地道に磨き高めていくしかない。

やはり、彫ることが一番楽しいし、とてもとても難しい。ただ均一でよければ今では機械彫りがある。生憎今はそれにさえ遠く及ばないが、勢いとか躍動感や繊細さは人の手に込めた想いが素直に形に表れるものだろう。

時給換算したら一体幾らになるんだという拙い駒を磨きながら、継続は必ず力になると自分で自分を励ましている。
posted by 工房藤棚 at 17:21
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