平成27年2作目のキャストパズルはキャスト ヘキサゴン(CAST HEXAGON)で、ホームページでは5月発売となっているが、販売店により発売開始日がまちまちである。
その上、売り出し直前までメーカーからのアナウンスは一切なくて、通販ショップからの情報が唯一であった。更に公式ホームページの4月27日発のtwitterには驚かされた。曰く『発売日がなかなか決まらずお伝えしていませんでしたが』ときた。

それは全く不可解な対応であり、色々と縛りがあるだろう小売り店の言い訳なら仕方がないと納得せざるを得ない。だが、多くの関係者が知恵を絞り汗を流し、気を遣い投資し、万全の準備をして晴れて新しいパズルが誕生する時に、当事者からは華やかな雰囲気や熱気、高揚感とか楽しさの予感が伝わってこないのはどうしてなんだろう。

更に輪を掛けて気になったのが、キャストパズル最強の難易度を誇ると噂される名作キャスト カルテットの作者でもあるMINE.Uyematsuこと植松 峰幸氏のコメントである。『これ、少々売れ行きが悪ければ(労多くして益少ないことになるので)早々に廃盤になるかも知れない。だから、販売されたら早めに確保しておいた方がよいかも』と、発売前から縁起でもないことを言っている。
それ、取り越し苦労です。必ず高い評価を得るに違いない良品で佳作です。
ヘキサゴンとは六角形のことで、ヘキサ(hexa)はギリシャ語で6を示すという。コンピュータの世界でよく使うヘキサはhexadecimal(16進数)の略称であった。今はキャスト スターフィッシュと名乗っているヒトデと2匹のアジたちもマリンシリーズの時はギリシャ語の5を表すペンタと呼んでいた。
総合難易度は青色の4。ひらめき指数3、論理指数5は絶妙でしょう。テーマ漢字は作者の裏話の通り「六」ではなく「巡」でシンニュウがフレーム、3個の「く」の字がピースとの意味付けと共に、「巡」の意である「川の水のようにぐるりと回ること」が図星で感性の高さがキラリと光る。
箱の裏側の写真や他でも公表されている外した姿には色々な意見があるだろう。但し、解答図が入っていないこと、インターネットで勝手に動画などが公開されることやデジカメの普及により、この程度は許容範囲との判断なんだろう。けれどもパズルとして充分に楽しみたかったら、余分な情報が必要ないのは勿論である。不便が便利に勝るのは一つの真理である。
試行錯誤していると、これをこうすれば多分旨くいくと理解できてくるが、それが一筋縄ではない。そうして決して無理や力やコツが必要がないのは当然として、最初の山場の鮮やかさは途中のモヤモヤを一瞬にして解消するものである。また同じようでも仕掛の違う三ツのピースの納まり具合や巧妙な動きといいパズルの種は尽きないものだと改めて感嘆するのは快感である。その上に戻すことも外すと同様に容易なものではなくキャストパズルの醍醐味と奥深さをゆっくりじっくり味わうことができるだろう。
今回から同封されたリーフレットではキャストパズルが4系統に分類されシリーズが一望できる。このように整理されたものを見ると自分の好みが明確になり、苦手と感じていた迷路系も捨てたものじゃないと再認識した。
また、ロジックとひらめきは対極にあるイメージだったが意外と混沌としているものだと唸った。
一つ気になったのはキャスト ディスクが抜けていることである。ホームページでは健在なので単なるミスであることを願いたい。
次は何を買おうかと迷った時には、難易度だけではなく気に入った系統から集めたり、別の道を往くのも面白い。その指針や参考に新しくて貴重な資料となるだろう。
いくらネットが発達しても紙で眺めるのは別格で格別なのである。
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