発売が延びに延びていたキャスト メビウス(CAST MÖBIUS)がようやく手に入った。2度の発売延期は難易度を上げる為か、別解の潰しか、はたまた製作上の問題か。
メビウスの帯とは、帯状の長方形の端を180°捻り、他方の端に貼り合わせた形の曲面であり、もしこのCastPuzzleを一発で鋳造できる金型を考えることができたらノーベル賞ものであろう。
というわけで、当然繋いであるのだが、廉価で行うわりにはかなり高度な加工がさりげなく施されている。仕上げのレベルも文句のないものであり、そのあたりが金属パズルを長年販売してきたハナヤマの面目躍如である。
青色の外箱は総合難易度4を表し、ひらめき指数3、論理指数5は甘々だろう。テーマ漢字はそのものの「帯」。難易度が高い方が売れ行きが良いのは分かるが、論理指数5は厳しい。迷路系にどんな高度な論理的思考を要求すると言うのだろうか。もたもた悩んでいるのだったら「頭よりも手を動かせ」が早道じゃないか。
キャストパズルの公式サイトのTwitterで「さらっと外せてしまう場合もあるでしょう。ドツボにはまると無限のループを彷徨うことになりますが」を読んだ時、随分と怪しいことを何気なくつぶやくものだと不審に思ったが、その「さらっと」に該当し嫌な予感的中である。故にクリア時間は書けません。
迷路系の典型作であるCAST LABYにも通じる雰囲気があるが、決して二番煎じではない。キャストパズルのメビウスの帯は難しさや手応えよりも、いつか来た道がいつの間にか目指す道に変わる不思議感覚に驚いたり納得するものなのだろう。
作者のOskar Van Devenyer氏はオランダの天才パズルデザイナーであり、彼の生み出したキャストパズル群には圧倒される。現在販売されているものだけでも、発売順にチェーン、オーギア、レフ、デュエット、ナットケース、エクア、マーブル、H&H、ツイストと多種多彩であり華麗である。
その中で三つ選べと言われたらCAST CHAINとCAST MARBLEは別格で、最後の一つはCAST EQUAか人によってはCAST NUTCASEか。個人的に全てのキャストパズルのなかでもベストであるキャスト チェーンは2002年に誕生しているのだから、高い位置での息の長さにも敬意を表したい。

最近世に送り出されるCastPuzzleは、それなりの難易度が設定されているが強力な衝撃を受ける飛び抜けたパズルはない。それが容易でないことは見当が付くが、発想の転換で一度広く一般から作品を募集するのはどうか。意欲あるアマチュアが自分のアイデアを世に問う機会と歓迎し、意外な掘り出し物で飛躍の可能性は大きく高まるだろう。
【HUZZLE・CastPuzzleの最新記事】