平成28年最初のCastPuzzleがほぼ予定通り1月末に発売された。その名はキャスト パドロック(CAST PADLOCK)で、パドロックとは南京錠のことである。それをイメージしたと言われれば「なるほど」と納得する。
手にしてみると予想以上に小さいもので、却ってお洒落で格好良い。仕上げも上品であり、丸形はブラウンの細かい梨地処理で楕円形はシルバーの同じ処理であり、これに手応えのあるパズルが付いていて、それが千円以下で買えるのだから、その価値は驚くほど高いものである。
外箱の紫色が示す通り総合難易度は5。ひらめき指数4、論理指数5であるが論理指数は6を与えても不自然ではないだろう。2010年発売のキャスト ラトル以来となる総合難易度5が伊達でないのは何よりである。テーマ漢字は「頑」であり、頑丈な造りと同時に頑なにクリアを拒む難しさを適切に表現していて出色である。
色々な要素が盛り込まれているので簡単ではない。楕円形のパーツにある切欠きの角度、丸形パーツの軸の中央のライン、上下の微妙な遊び、意味有り気な真ん中の四ツはなく三ツの突起とガイド、楕円形の内部のくびれ、俗にいう瓢箪形でありそのラインは十分に妖しい。自由に回転するのだけれども、自由に上下移動できない制約。ふとしたきっかけで今までにない挙動を示すが再現は困難という怪しさと不思議。もろもろが重なり、堂々巡りのような徒労感による苛立ちさえ覚えクリアへの糸口が見つからないもどかしさが募る。
万一、思いがけず外れてしまったら幸運ではなく痛恨事であり、恐らくもう元には戻らないだろう。唯一の方法はあと一つのお買い上げだけである。長い間待っていた一晩では解けないパズルであり、パズル初心者にとって荷は重く試練となるだろう。試すことが沢山あるということは紛れも多いことにつながり、それでも愉しめたらセンス十分であり自信を持って誇れる感性である。
様々な試行錯誤で辿り着く外せる予感は多分その通りである。その通りではあるけれど秘訣もあることを理解した時、あるいは、クリアした後に本当の初期状態に戻して自己満足に浸る時、論理指数6もありと言ったことを納得して頂けるだろう。まだまだ分からないことが多く謎も残り奥は深いが、それはそれでいいのである。だから楽しいし止められないのだろう。
キャスト チェーンやキャスト ナットケース・キャスト シリンダーなどが好みでタイプの人にとっては、待望久しく願いが叶うHANAYAMAからの嬉しい贈り物となるだろう。キャスト シリンダーは評判が良いと聞くが、今後は新しいパズルの双璧を担う可能性は高い。
「瓢箪から駒」の〔駒〕とは馬のことで、瓢箪の小さい口から馬のような大きなものが飛び出すたとえから、思いがけないことや道理上ありえないことが起きる意であるが、そのくびれには愛嬌があり、そこに面白さや不可思議と希望と驚きが秘められている。
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パドロックと鍵のマークが同じ面ではなく逆さになるように戻っているせいなのか外せません。
逆さに戻すと外せなくなりますか?