この鬼の難しさは、キャストパズルでいえば当然難易度6であり、それには誰も異論は挟めないだろう。
もし、このパズルを1974年より前に発明して、その構造と意匠の権利を独占できたならば今は億万長者となっているだろう。
Amazing CubesのCarni Chaakは3*3*3のキューブタイプのパズルである。大きさは普通のルービックキューブより一回り小さい。キューブとしてみたら、かなり変則的な形であるが動きや操作性は特に問題ない。
パズル専門店triboxにて購入したのだが、最後の一つだったので現在は品切れ中となっているけれども評判がよければまた入荷するだろう。
飛び出した白縁の目が特徴で、緑色の鬼は個性的でありルービックキューブと同じ仕掛けにはなかなか見えない。けれども、お馴染みのキューブを遙かに凌ぐ強者で、ルービックキューブの六面をかろうじて揃えることができるレベルでは、悲惨な結果となる可能性は高いが挑戦する価値は十分にある。
当然、一面なら揃えることができる程度では前面の顔だけは可能でも、角も耳もお手上げで、もがけばもがくほど底無し沼に引きずり込まれ、思いがけずに崩れる面を鬼に笑われるしかない。
ならば、スピードキュービングの上級者なら簡単かと問われれば、それでも苦労するしかないだろう。何故なら揃えるキューブを捜すこと自体が難しいのだから。その上に、実物は写真より黒色の模様が分かりにくく、それを参考にするのはかなり困難である。
センターキューブは、位置が固定されているから問題はないと思うだろうが、そこに罠がある。上下左右を区別しなければならないのである。それは色のみのキューブにはない厄介さである。
鬼の目はキューブの真ん中にあるのだが、元の状態に揃えないと他のキューブと面が綺麗に繋がらない。当然他のセンターキューブも、しっくりするのは初期の状態だけである。隣り同士が変に段差があるのは合っていないからで、どちらが違うかがまた難題となる。
どんなキューブやパズルでも自分ができる方法で揃えるしかない。LBL法の「F2L」も簡単ではない。顔以外は、そもそもどれをどこに納めるのか、それが一番の問題である。
「OLL」も「PLL」も、初めの頃は何がなんだかの状態である。特に、二つあるほぼ同型のエッジキューブの違いや向きと後頭部にある三角形のコーナーキューブの向きの正解は神のみぞ知るである。
更に、コーナーキューブとエッジキューブの組み合わせやセンターキューブとの収まり具合は、絶対的なものがないので試行錯誤して探すしかないのが大変で、その組合わせは膨大であり厳しく辛い。
ようやく完成したキューブの鬼は、なめらかに揃った面であり不自然なところはほとんどない。
現実問題として手にいれたら崩す前にじっくりと観察して覚悟を決めて始めることをお勧めしたい。その上に自信がなかったらカメラを持ち出すのも一つの手であろう。
「渡る世間に鬼はない」というが、我が家にやってきたキューブの鬼は無事に甦り、再び睨みを効かして厄を払う役を担ってくれるだろう。