2008年11月22日

 愛着を感じる会社。

 
 寒々しい時代である。不景気となったら、直ぐに従業員削減である。一体人を何だと考えているのだろうか。

 派遣社員は、その為の派遣なんだと言う。その為というのは、必要が無くなったら首を切るということだが、人はロボットではない。最後までいったら、そこまでして利益を上げたいか!である。

 「来月からは、もう結構です」と告げられたら、職を失うのは当然だが、同時に住む場所さえ失う者も多いと聞く。それを知っていながら、その痛みには無関心である。ただ、それに対する不満と恨みは間違いなく鬱積する。格差社会は多くの時限爆弾を抱え込む。

            崩れる

 誰が考えても、派遣会社の一員となった人が、派遣会社に愛着を感じるわけが無いのはわかる。だって、派遣会社に勤めるのでは無いのだから。それなら、派遣先の会社に愛着を感じるかといえば、それも無いだろうなと見当がつく。何故なら、使い捨てしようとしている会社が、派遣社員を鄭重に扱うわけが無いのだから。

 同じ会社に毎日出勤してきて、同じように働いても明らかに待遇が違う。同じ会社にいても仲間では無いのである。
 勝ち組負け組なんて言葉は使いたくないのだが、現実は勝ち組と言われる人には、その意識は少なくても、負け組と言われる人が誇りを持ち、我が会社と言うのを期待するのは無理である。もし、それを言ったら「それどっち」と聞かれてしまう。

 けれども、良くはないが、派遣社員や期間社員には、ある程度覚悟がある。辛いが仕方がないと諦める処方箋が無いことは無い。
 だが、勝ち組と呼ばれてきた人達にまで、その影響が及んだら、これは悲惨である。超スモール小室哲哉である。彼は月二千万必要であったと聞いた。
 端から見ていたら阿呆であるが、当事者はなかなか軌道修正できないのである。
 その人達には、ローンが分相応にある。生涯設計が可能であったから不思議では無い。それは、思い通りだから分相応なのだが、その前提が崩れると、「重荷」以外に言葉は見つからない。

             雲一つ無く

 毎日毎日、工場で一生懸命に車を造っている人達の多くは、その会社の一番安い新車さえ買うことが困難であった、という仕組みは誰が望んだ姿なのだろうか。

 デモやストライキさえ無縁な時代に漂流する不安は、計り知れない。新しい水夫でさえ尻込みするのなら、古い水夫の怯えは尚更である。

 そして、新しい海には新しい水夫が漕ぎ出していく。
 

posted by 工房藤棚 at 10:12 | Comment(2) | TrackBack(0) | 独り言
この記事へのコメント
こんばんは
フォード救済のためにはお金を惜しまず、地元が犠牲になるのは止むを得ないでは、どうも納得がいきません。
この不況時に派遣社員を放り出せば、その分また、自治体も福祉費用などで大変になるのでしょう。

「痛み」が公平に分かち合われる事はないのですね。

会社に愛着を感じている「勝ち組」の人にも、「弱者になる日」がいつ訪れるか分らないひどい世の中です。

新幹線や飛行機の中から眺めるだけの富士ではなく、一度このように美しい富士を近くで眺めたいと思っています。

Posted by にぃにぃ at 2008年11月24日 20:54
 にぃにぃさん、コメントありがとうございます。

 フォードもGMもクライスラーもであるなか、フォードだけは生き残れそうであろうと、厳しいですね。

 皆が心配のないようにと、祈り、励んだ結果がこれか!は、結構辛い。

 それが、その地の、その国だけではどうしようもなかったら、それどうしようかと。

 けれども、飢えてないでしょ。だけが、救いなのでしょうか。
Posted by 工房藤棚 at 2008年11月25日 21:52
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