2009年04月14日

山本夏彦翁の新刊書「浮き世のことは笑うよりほかなし」。

 山本夏彦翁の新しい本は、もう出ないだろうと諦めていたのだが、意外にもそれが最近出版された。

 それは「浮き世のことは笑うよりほかなし」。講談社からの出版である。新潮社でもなければ、文藝春秋からでもないのが、微妙である。

 その前に『夏彦・七平の「十八番づくし」』という両山本氏による対談集が出ているのだが、これは復刻版。何とほぼ26年前の本を復刻したものであった。

 本書の内容は、山本夏彦翁が編集者兼発行人である工作社刊行のインテリア月刊誌「室内」に掲載された対談「人物登場」で、山本夏彦翁が聞き手を務めたものから十七編を選んだもの。

 もう、こういう企画しかないのである。けれども、このアイデアがよく出版までこぎつけたものだと感心した。

 その内容。どこまで紹介するのが、まだ手にとっていない人にとって期待を膨らますのかは難しいけれど、分かる人は分かるだろうから少し詳しく。

1.「旦那」はいなくなりましたなあ 白崎秀雄(作家、美術評論家)
2.麹町むかしがたり        大熊善英(建築家)
3.誰も聞いてくれない地震の話 清水幾太郎(社会学者、思想家)
4.テレビのなかのインテリア    向田邦子(脚本家、作家)
5.なんでも描けなきゃ絵かきじゃない 安野光雅(画家)
6.おしん寺子屋火事けんか 小木新造(元江戸東京博物館館長)
7.どっちがエライか住宅とビル   石山修武(建築家)
8.六年牢屋にいれられて      安部譲二(作家)
9.乱歩・東京・2DK       松山巌(作家、評論家)
10.職人になればよかった     安藤忠雄(建築家)
11. 三十五年めの新・韓国事情   関川夏央(作家)
12.広告ほど面白いものはない   天野祐吉(コラムニスト)
13.時代遅れの日本男児      藤原正彦(数学者)
14.何とかならぬかマニュアルの日本語 盛田昭夫(ソニー元取締役社長)
15.本と本でないものを決める人  出久根達郎(作家)
16.ハウスメーカー逆襲す     古河久純(古河林業(株)社長)
17.今どきこんな建築家がいるとは 池部良(俳優、エッセイスト)

 一番面白かったのは、安藤忠雄氏との対談で安藤氏が非常に率直である。
 ・・・ 
 山本 家って暗いものですよ。
 ・・・
 安藤 だから落葉はみんなで拾ったらいいと思うんです。

 最後は、やはり山本夏彦翁の言葉で、古河氏との対談の最後に。
 「けれども目算は必ず齟齬するものです。その時狼狽してはいけません。からからと笑うのです。浮き世のことは笑うよりほかないと笑うのです」。


posted by 工房藤棚 at 22:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 山本夏彦
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