現在のCastPuzzleを支えるAkioYamamoto氏の代表作を、3品選べと言われたら「CAST VORTEX(ヴォルテックス)」、「CAST RADIX(ラディックス)、「CAST BAROQ(バロック)」に落ち着く人が多いだろう。
他に「CAST DOLCE(ドルチェ)」、「CAST AMOUR(アムール)」、「CAST HELIX(ヘリックス)」もそうだし、以前はマリンシリーズであった6部作も、現在はキャストパズルにとリニューアルされ、正に三面六臂の大活躍である。
三面六臂とは「三つの顔と六つの臂(ひじ)のあること」だが、それが正真正銘 阿修羅像である。
奈良 興福寺の国宝の阿修羅像が有名で、その深いまなざしに魅入られた人も少なくないだろう。
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阿修羅とは、元来正義の神であったが、正義心が強すぎて、インドの神々の中心である帝釈天と闘い続けた敵役であったとされる。
その後、釈迦の教えにより、仏法を守護する天竜八部衆の一尊に加わったという。
一体の仏像に三つの顔をもつのだから、自然なはずがない。だが、その三面には全く違和感がない。
そして、慈悲、悲哀、厳格、慈愛、包容や怒りや忍び。様々な言葉によって表現される表情だが、すべてが祈りへと繋がるのだろう。
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ヴォルテックスは、阿修羅像をイメージしたそうだが、その三位一体のありようが不思議な感覚を生み、一種独特の世界に導く。
そうして、両者に一番の共通するものは「慈悲」の心だろう。
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VORTEXは情け容赦なく難しい。知らないとヴォルテックスと書くのも容易ではないが、パズルの外す厳しさは尋常ではない。
その上、戻すのは不可能じゃないかと諦めの境地に達するレベルである。
だが一番苦労するのは、元の状態から抜け出した直後に始まる。絡み合ったが最後、多分元に戻すより外す方が簡単だろう。
何故なら、外すことができたら作戦を練り直して、一つ一つの形状や挙動や意図をつかみ易いからである。
だったら、共通する「慈悲」とは何か。
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実は、これの三つの部品には刻印がされている。「VORTEX」と「HANAYAMA」と「A.Y」。「A.Y」とは作者のAkioYamamoto氏のイニシャル。
もし、これがなかったら、このパズルをクリアできる割合は悲惨なこととなっていただろう。
「CAST QUARTET(カルテット)」に繋がるわけのわからぬ困難さである。これだけ同じようだが違う形でも、もつれ合うと渾然一体となり、パズルの世界を超えてしまう感覚に陥る。
それを食い止めるよう配慮した心配りを「慈悲」とよぶ所以である。
そんな「慈悲」があっても半端でない仕掛けだが、意外と理詰めで解ける。逆に言えば、試行錯誤だけで組み上げることは殆ど無理だろう。
でも、最後には「C環三つ」なんだ。
「CAST CHAIN(チェーン)」もC環三つ。「CAST ELK(エルク)」はC環二つ。「CAST ENIGMA(エグニマ)」だってC環が無縁ではない。だから、頭のネジを捻り、捻り、捻る必要がある。そして、パズルはマジックではないことを信じましょう。
それにつけても、その有機的な蠢きはCastPazzleにおける宝物であり、これを手にしなくてはキャストパズルの奥深さは語れない。ただ、「慈悲」をも突き抜けるほどの難しさが、評価の分かれ目なんだろうか。
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