マリンシリーズでは断トツの存在感を示していたテイル(TAILS)は、キャストパズルシリーズになってキャスト シーホース(CAST SEAHORSE)と名前を変えた。シーホースとは文字通りタツノオトシゴであり、昔から安産のお守りとされ竜の落とし子という堂々たる名前は今年の干支にちなむものでもある。
マリンシリーズからキャストパズルになって、どれも大きく、リアルに、重厚になり、また、細部に渡って手が入れられているが、その品質感の向上という意味ではこのシーホースが一番だろう。とにかく安物臭は払拭され、一言で言えば「随分ご立派になられまして」である。
そのモチーフは、タツノオトシゴの絡み合いでありω形の金色とβ形の銀色の両者が、組んず解れつ絶妙な空間と角度で組合わせを代えて、離し解放し、また元の鞘に戻すというものである。
その仕掛けは、正統派のパズルと唸らせるものでキャストパズルの中に入っても、かなり高い評価を受けて当然である。総合難易度3、ひらめき指数3、論理指数2である通り、適切で絶妙な難しさであり、どのようなレベルの人にも最適なものであろう。
AkioYamamoto氏特有の、針の穴を通すような際どい動きにより、タツノオトシゴの関係は変化していく。少し理屈が理解できると、次の姿もイメージできるが、そこへ辿り着けないもどかしさと、思い通りに協力できた時の快感は爽快である。ただし、行ったり来たり、イッたり萎えたり、一筋縄でいかないのは例の如くである。
紛れも狙い通りなのかは知らないが、離すのは別れがたく、結合させ体の位置を替えるにも同様に不思議感覚が襲う。とても一回で満足できるものではないだろう。何度でも、何回も。それでも立つのが龍の矜恃か。
ある人が、キャスト シーホースを評して「69点だな」と呟いたが、私にとっては100点満点であり、とても愛着を感じるものである。
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