銀色の♂と金色の♀の大きく重量があり、さも金属製であることを誇るようなキャストパズルはAkio Yamamoto氏によるもので、キャスト ドルチェ(CAST DOLCE)は文字通り甘美な、優しい、柔らかいがテーマである。
♂と♀といえば、同じ作者のキャスト アラームも同じ記号を使っている。その絡み合いやひねり、角度、不思議感覚や、リズムの良さ、絶妙な操作を求めることなどはキャスト シーホースやキャスト バッロクにも通じるものである。
♂や♀の様子に惑わされるが、パズルとして見るとシンプルなもので♀のCの開口が唯一の手がかりで取り付く島もない。当然それがきっかけになるのだが、柔らかで自由な動きを発見しなければ甘い生活はほろ苦いものへと繋がる。
ドルチェで一番肝心なのは、元の状態は♂と♀の凸と凹が完全に噛み合って動かなくすることが可能だということである。似た形で反対の状態があるが、こちらは固定できなくて気持ちは良くない。
だから、元に戻すのは意外と難しい。堂堂巡りに陥り易いのである。よく「外せたのだから戻すのは簡単でしょう」と言う人がいるが、戻すほうが困難なパズルはいくらでもある。ドルチェも似た形を行ったり戻ったりして「今私は何処!」で、この道は戻り道なのかさえ不明となる。迷子になるのは子供だけではない。
総合難易度、ひらめき指数、論理指数とも3であり、このパズルが解けるかよりも楽しめるかによりキャストパズルとの相性が計ることができる気がする。いや、それは言い過ぎでAkio Yamamoto氏の世界との適合かもしれない。その証拠に私はキャスト ドルチェに淡い懐かしさや奇妙なときめきを覚える。
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