2000年8月オスカー氏から芦ヶ原伸之氏に手渡されたのがキャスト ディスク(CAST DISK)の原型で、完成形は渋い銀色の2枚の円盤が互いに連結し、それぞれ回転する。それを外し、また元に戻す3次元迷路のパズルである。
作者によると、2つのパーツは個々に動くが外れることなく円盤上どの部分へも移動できることを目的に設計したそうで、これがこのパズルの動きの全てを語っている。総合難易度2、ひらめき指数1、論理指数3の通り、深く考えることなく自由奔放に動かしていても解ける可能性はあり、迷路系が苦手な人でも心配はない。
ディスクの作者オランダのOsker van Deventer氏は、1965年生まれで「十代にして数々の独創的なパズルを発表し、世界中のパズルファンを驚嘆させた天才作家」と評された逸材で、キャストパズルでも多数の名品を生み出している。現在のキャストパズル数は50であるので、オスカー氏の作品の10品はその2割を占めることになる。
彼の作品で難易度の高いものでは、個人的にも一番愛着があるキャスト チェーンが有名である。作者も「恐らく私が設計したものの中で、最も革新的なものでしょう」と語っている。同じく総合難易度6のキャスト ナットケースもチェーンとは異質の難しさであり、その佇まいは独特であり孤高の位置を保っている。
次のグループは、キャスト マーブル、キャスト エクアとキャスト H&Hで、特にマーブルによるデザインの美しさとパズルの両立は特筆に値するものである。エクアも不思議感覚や異次元球体が際立っていて、その難しさには賛否両論あるようだがパズルファンにとっては絶対に外せない一品である。
最後はキャスト デュエットを筆頭とする迷路系で、3次元迷路であるキャスト レフ、本ディスク、立体迷路のキャスト キュービー、キャスト オーギアと多彩である。また今回引退したキャスト キーリングも彼の作品であった。
今後もオスカー氏が末永くご活躍されることを強く期待します。
なお、本文の引用は「The メカニカルパズル130@三推社◎講談社」によります。
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