尾を飲み込む蛇が星型の賢者の石を抱いている。それは「死と再生」、「不老不死」を象徴するウロボロス。自らの尾を食べることは、始まりも終わりもない永遠の世界の象徴である。
今年の干支の巳にちなんだキャスト スター(CAST STAR)には、実は深い意味があった。約百年前の古典を元に、精度を格段に上げたキャストパズル初期の作品は芦ヶ原伸之氏監修によるもの。
スターは、キャスト キー、キャスト A.B.Cと共に1983年発売の最古参であり、両者が引退した今、唯一の歴史の語り部となってしまった。生き残れたのは総合難易度3、ひらめき指数4、論理指数2が示す通りかなりの手強さによるものか。
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スターは本当に難しかった。巷の噂では、何かの拍子でも外れるほど簡単だったと信じられないものがあり余計に焦った。実際外せる位置は、ある程度見当付いても星の位置との組み合わせは無限といってよいほど可能性はある。ムキになっての試行錯誤の繰り返し。しかし、完全にお手上げである。頭を冷やそう。
それを思い付く毎続けても見通しは暗く、時間は流れほぼ一年を経過した日は、たまに取り出しチャレンジすることも忘れた頃。巧い具合に固まった組み合わせがあった。苦節一年、どれだけの星の形を眺めたか数知れない。ここは押すしかないと覚悟をきめた瞬間、賢者の石は新たな世界を知ることとなった。
それは、前に述べた「精度を格段に上げた」結果か、個体差か。いや、私のスターはウロボロスにおとなしく修まって夢想することを望む優しく穏やかで賢い石だったんだろう。
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