キャストパズルの迷路系の難しさではキャスト ラビと双璧との評価を得ているキャスト デュエット(CAST DUET)は、パズルの天才オスカー氏の手になるものである。
他のパズルと同様に、外してまた元に戻すもので小さな金色のCの輪は二つに分かれるが、磁石により結合する。テーマ漢字の「磁」はそれを表していて、デュエットのイメージは結婚したばかりの夫妻の新婚旅行だという。その輪にはピンが出ていて、四角い格子状のフレームの凹みを利用して進んで行くので別々に操作しなければならない。
四角の一辺の角が丸まった出発点から旅は始まる。二つの輪を外すのが目的だが、それ以外にも課題がある。フレームの内部の交点4ヶ所に数字が刻印されていて、二つのリングをそこに納めることが第二の目的である。数字は1〜4まであり、難度を表しているらしいが、必ずしもそうとも言えない気もする。
外すより戻すほうが難しいパズルは数多くあるが、これは無事外すことが出来ても、それはまだまだ旅の途中だ。パズルの常で、一本道とならないのは当然として、相手が無事辿り着いても同じ道は通用しない。また、巡り会っても合体できるとは限らず、時には本意ではなくても相手の進む道の邪魔をすることさえある。それは永遠の真理「急がば回れ」を思い知ることになり、「急ぐべからず」も実感する旅となる。
外に向かった溝がある。これがなければ平凡なパズルに成り下がり「何が面白いの!」となりかねないのだが、身なりは小さいが大きな価値がありダイナミックな動きと意外な展開を生む魔法の仕掛けでもある。堂堂巡りとなったら、見逃している奇妙な動きを探るしかないが、それがデュエットの醍醐味でありパズルの魅力である。
総合難易度5、ひらめき指数5、論理指数5に臆する必要はない。どちらかと言うと迷路系が苦手の私でさえ存分楽しめたし、オランダのオスカー氏がイメージしたという旅の4都市は、1.ロンドンは当然として、2.パリでも、3.ウィーンも勿論、4.ローマでさえ別々の道を歩んでも前から後ろから必ず結びつく。デュエットする二人が離れても別れられないのは定めであり、粘りが肝心なのは人の世の常なのだから。
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