キャスト ホース(CAST HORSE)は、蹄鉄をモチーフにしたもので後輩のキャスト ダブルユーが発売されても健在である。かなり大きな二つの蹄鉄が鎖により繋がれ、その中の別の蹄鉄を外し、また元に戻すパズルである。
一見してとても外れるとは思えない蹄鉄が、一瞬で取り出される様は見事である。総合難易度2、ひらめき指数2、論理指数2の通りその仕掛けに気が付けば難しくはないが、鮮やかさではキャストパズルの中でも一二を争うものだろう。これも初期の作品ではお決まりの芦ヶ原伸之氏の監修によるものである。
そもそもキャストパズルシリーズ自体が芦ヶ原氏の企画によるもので、CastPuzzleという言葉もHANAYAMAの命名で昔からあったわけではないという。元々は1880年代のイギリスのパズルブームの中での鋳造された金属のパズルに魅せられた芦ヶ原氏が、1980年代にハナヤマに呼びかけ、名作を復刻しまた創作を加えたものでパズルとしての歴史は古いわけである。
その芦ヶ原氏の功績は絶大で、2005年最後の作品となるキャスト プレートまで、シリーズの中で監修として開発に係わっていないのはキャスト ハートだけか。その数は20作を越え、氏の尽力によって私たちはパズルの過去の名品の面白さを味わうことができたといっても過言ではない。またキャストパズルのオフィシャルサイトのメインアイテムとなっているキャスト ニューズは、氏が作者であることは有名である。
そんなキャストパズルシリーズであるが、初期のころは寡作であった。1983年にキャスト スターなどが初めて発売されたが、それから20年後の2003年でも二十数作で、何年も新作が発売されなかった時期もある。決して今の隆盛が一朝一夕になされたわけではない。
芦ヶ原氏が亡くなられたのが2004年で随分と時間が経過した。その喪失を乗り越えキャストパズルシリーズは順調に数を伸ばし、より多彩多様となり現代の名品も多く生み出している。今後も私たちをワクワクさせる数多くのパズルを送り出してくれることを期待したい。それでも芦ヶ原伸之氏の偉大な功績は忘れ去られることなく、永遠のパズル宣教師として語り継がれるだろう。
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