期待の新作キャスト シリンダー(CAST CYLINDER)が発売となった。キャストパズル発売30周年記念の第三作目で、オフィシャルサイトでの予告通り順調なペースで発売されている。シリンダーは、その謎めいた形状からは難易度が高いことが窺えて首を長くしていた人も多数だろう。
青い色のパッケージは総合難易度4を表していて、ひらめき指数は3、論理指数が4で「ひらめき」より「論理」の指数が高いのが味噌だろう。テーマ漢字はズバリ「錠」で、文字通りダイヤル錠を征服するイメージを連想させるものであり、フィンランドのVesa Timonen氏の作品である。Timonen氏は、キャストパズルではキャスト ループ、キャスト フック、キャスト ドーナツ、そしてキャスト スクエアの作者であるが、代表作はキャスト シリンダーと呼ばれるようになる可能性を秘めている。
キャストパズル特有の金属製によるズッシリ感は面目躍如であり、外側の2個の輪は全く抵抗なく、そして意味もなくクルクル回るが、ただそれだけで外す切っ掛けは皆無である。しかし、パッケージの裏側の写真によると内側の円筒は3個で成り立っていて、それは正に立体三つ巴なんだろう。
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けれども、そこは総合難易度4なので手掛かりはある。これはパズルであり、シリンダーを形作るパーツには絶妙な遊びがあり、ある拍子により急展開するだろう。そうして普通では外れるわけがないものが外れる仕掛けに、パズルのパズルたる所以を知り納得するはずである。
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パズルには、外すことより戻すことの方が難しいものが多数ある。このキャスト シリンダーもそうであり、外すことができても、それは道半ば以下であり、無事に家に帰るまでが遠足であると同様に、キャストパズルは外すのは当然として戻してこそクリアである。それにはまた違う発見が必要であり、武骨な粘りが要求される。
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偶然が必然に変わる時、人は深い感銘を覚える。根拠のない理由を信じ込んで、ただ闇雲に突っ走り彷徨い続けた永い時間は何をもたらすのか。それには少しの冷静さと僅かな智慧が必要なだけだ。そう、十分な材料があるではないか。他と違うことの意味が全てを語り、鮮やかな爽快感を約束している。
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最近のキャストパズルは難易度の低いものが多かったが、久しぶりに骨のある佳作に出会ったと喜ぶ人も多くなるはずである。出来てみればコロンブスの卵であろうが、丁度良いキャストの重みと精度に加えて、知的好奇心をくすぐる動きと目には見えない内部の状態を推理する楽しみが高く評価されるのは間違いだろう。
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