17年振りの消費税増税の喧噪のなか、静かにキャスト ユー&ユー(CAST U&U)が発売になっている。一目で好みのタイプであり、その期待を裏切ることのない待望の新作である。
キャストパズルの同じアルファベットを「&」でつなぐシリーズのキャストS&S、キャストH&H、キャストG&Gに続くものであるが、今回は本物のUボルトを組み合わせてみましたと言っても過言でないほど自然なネーミングである。
パッケージの青色は総合難易度4を表していて、ひらめき指数が4、論理指数は3である。難易度の感じ方は人それぞれであるが、このキャスト U&Uはそれ以上と受け止める人が多くなりそうな強者である。また、テーマの漢字一文字は「錯」で、錯綜や錯覚で使われている通り「入り乱れる」や「間違える」意があり、そのセンスには恐れ入った。ちなみに似てはいるが鎖(くさり)ではありません。
香港のKyooWongという人の作でキャスト デルタの考案者でもあるので今後も期待したいものである。キャスト U&Uは昨年末には発表されていて発売が4月になったのは、パズルの種は尽きないのだろうが、商品化されるほどのアイデアはそうそう転がっていない事を物語っているのだろうから。
世間に多数あるボルトと同じように、仕上げは青みがかった銀色の光沢クロメート(ユニクロ)メッキであろう。意外とキャストパズルでは珍しいものであり何気なさがお似合いである。Uボルトは太く頑丈で、どんなに癇癪を起こしても人の手で曲げてクリアすることは不可能であり、四ツのナットはUボルトから外すことはできないし、その必要がないのは当然である。
外箱の説明書きの『一見、どこにでもある単なる部品の集合体にしか見えないが、巧妙なしかけが施されている。解法の手がかりは、まず、ひとつひとつの部品をよく見ることだろう』は、パズルとして、ここまで書いたら興味が半減すると疑問に思った人が多いだろうけれども実はいいのである。解いて戻して、ああこれを免罪符と呼ぶんだなと却って納得するだろう。
無骨な雰囲気はキャスト ナットケースに通じるところがあるが、名品と噂の高いキャスト デビルとキャスト エルクのどちらにパズルとして近いかと問われれば即座にエルクと答えるだろう。
無理筋でも論理の裏付けを頼りに観察によって手掛かりを発見していく。そんなメカニカル的な面白さを秘めて手応えは十分であり、てこずる人は散々試行錯誤を繰り返しても茨の連続に途方に暮れるかもしれない。だが、自分の足で歩み一つまた一つと乗り越えていくしかないのである。
そう、CAST U&Uは決してネタバレを見てはいけないタイプであり、短気は苦い満足と深い後悔しか得られないだろう。それは初心者であれ熟練者でも同様である。けれども、諦めずに僅かなことにも注意して粘れば必ず糸口は見つかるし、それを楽しむのがキャストパズルの醍醐味である。そして、それこそが解答図を入れていないHANAYAMAの願いでもあるだろう。
あなたが挑発した優雅な遊技への連想は、CastPuzzleにはマジックが必要ないことを改めて気づかされ、それは心の備忘録にインキで記しておこう。
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>解いて戻して、ああこれを免罪符と呼ぶんだなと却って納得するだろう。
こんな名言は、スコッチのモルトと一緒に味わいたい。解けた後ならそう思えますね。そうじゃないと歯ぎしりしきり。
どこかで使いたいセリフbig2ですよ。
実は後半は彼方此方で借用しました。
公的外部発表はまだ先みたいですが、
どうも、さるコンペにてU&U受賞という噂が流れてきてますですね。
キャスト U&Uが国際パズルデザインコンペでグランプリを受賞したそうですね。おめでとうございます。
本音を言いますと、現在発売されているキャストパズルの全ての感想を綴ってきましたが、saccoさんには今までで一番の褒め言葉を戴きました。
僅かでも、共感してくれる声があるのだと嬉しくなりました。
また、機会がありましたら、是非お立ち寄り下さるようお願いします。