将棋駒作成三作目の書体は、源兵衛清安とした。
これは上と下の文字のバランスがよく、駒字として駒形への収まり具合が最もいい書体とされているらしい。
確かに変な癖はなく、敢えていえば銀将の銀が妙に迫力がないことぐらいだろうか。そして、どの書体も自分で作ると愛着が湧いてくるから不思議である。
駒作りも3作目ともなると、何の根拠もない自信が生まれ、かなり調子が上がっていたが某掲示板の意見で意気消沈した。
それは盛り上げ駒を始めた人へのアドバイスで「100枚もりあげればかなりのものになります。なんで練習三組、本番一組あれば宜しいかと。彫りは、見せられるようになるまでざっくり1000枚くらい彫ってどうかというところですがね」。
1000枚といえば、1000/40は25組で、月一のペースでさえ2年が必要な計算となる。素直に信じたわけではないが、そんな冷静な目で自作を観ると途端に稚拙さが目立ってしまい、浮ついていた気持ちは醒めた。
けれども作らなければ上達はしない。地道な一枚一彫りの継続が力になることだけは知っているし信じている。