2017年05月28日

源氏か源兵衛さんか、将棋駒三作目は源兵衛清安。

 
 将棋駒作成三作目の書体は、源兵衛清安とした。

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 これは上と下の文字のバランスがよく、駒字として駒形への収まり具合が最もいい書体とされているらしい。

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 確かに変な癖はなく、敢えていえば銀将の銀が妙に迫力がないことぐらいだろうか。そして、どの書体も自分で作ると愛着が湧いてくるから不思議である。

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 駒作りも3作目ともなると、何の根拠もない自信が生まれ、かなり調子が上がっていたが某掲示板の意見で意気消沈した。

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 それは盛り上げ駒を始めた人へのアドバイスで「100枚もりあげればかなりのものになります。なんで練習三組、本番一組あれば宜しいかと。彫りは、見せられるようになるまでざっくり1000枚くらい彫ってどうかというところですがね」。

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 1000枚といえば、1000/40は25組で、月一のペースでさえ2年が必要な計算となる。素直に信じたわけではないが、そんな冷静な目で自作を観ると途端に稚拙さが目立ってしまい、浮ついていた気持ちは醒めた。

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 けれども作らなければ上達はしない。地道な一枚一彫りの継続が力になることだけは知っているし信じている。
 

posted by 工房藤棚 at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋駒

2017年04月02日

作業用将棋駒箱を作る。

 
 将棋駒を作る時に駒を置いておく箱を作った。

作業用駒箱
 目止め剤を塗ったり、漆を入れる時には駒の両面を同時に作業するので、平面に置くわけにはいかない。

作業用箱
 それはサランラップの芯を二つに切った筒が丁度良いのだが、もう少し格好良い物をと自作してみた。

呂色と生漆
 大きさは内寸で250*235で、半筒を5本並べた。筒は排水用塩ビパイプ「VU 40*500」内経43mmを半分にカットした。枠は杉材で1000*10*40を適当に加工した。その他接着剤などが必要であるが千円と少しで済む。

作業用駒箱と将棋駒
 当初の予定では塗装などは考えていなかったが、塩ビの灰色は無粋である。そこで駒作りに使う漆があるので枠は呂色を、筒は生漆を塗り重ねてみたら必要以上にお洒落に仕上がった。更に、漆の扱いに慣れることができたし、その不可思議さと品と味を実感した。

作成途中源兵衛清安
 実際に駒を入れてみると予想を超える趣で満足である。第三作目の源兵衛清安も彫りの出来はともかくとして見映えするようだ。
 

posted by 工房藤棚 at 13:19 | Comment(0) | TrackBack(1) | 将棋駒

2017年03月12日

二作目は「錦旗で始まり錦旗で終わる」将棋駒作り。


 上手くなるためには沢山作ることが間違いない秘訣であると信じている。それから、牛歩で高い意識を持ち続けることができるか心配もある。

漆入れ後
 将棋駒作り第二作の書体は錦旗を選んだ。「錦旗で始まり錦旗で終わる」といわれるように、非常に正統的・伝統的なものである。敢えて癖を探せば「角行」の角の最後の縦棒がかなりの右寄りであることであろう。手掛ける前は今一つ魅力を感じなかったが外連味のなさが妙に気に入ってしまった。

駒の研ぎ出し
 少しづつ、丁寧に、を心掛け毎日一枚か二枚。休みの日も多くても四〜五枚しか彫れない、または、彫らない状況でようやく第二作目が出来上がった。色々な意味で負担にならないためにはこの程度のペースが最良かもしれない。

王将2態
 その出来は、間違いなく上達しているのだが、残念なことに歩みはのろい。彫りの線を綺麗に仕上げることは初心者にとって一番の課題となるのだろう。丁寧と流麗は相反はしないのだがそれぞれの加減は微妙であり、仕上がりの統一性には僅かな狂いも大きく響いてくる。

錦旗
 字母紙の貼り付けは、慣れればかなり上達する。要は糊の加減が大きい。意外と難しい面取りも注意深く数をこなせばコツを掴める。そうして諸々の精度を地道に磨き高めていくしかない。

将棋駒
 やはり、彫ることが一番楽しいし、とてもとても難しい。ただ均一でよければ今では機械彫りがある。生憎今はそれにさえ遠く及ばないが、勢いとか躍動感や繊細さは人の手に込めた想いが素直に形に表れるものだろう。

自作駒
 時給換算したら一体幾らになるんだという拙い駒を磨きながら、継続は必ず力になると自分で自分を励ましている。
 

posted by 工房藤棚 at 17:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋駒

2017年02月04日

将棋駒の銘彫台を作る。

 
 将棋駒の駒尻銘入れ用の銘彫台を自作してみた。名前は大仰しいが木の丸棒を2ッに割って、その間に王将駒を鋏んで固定して、駒の底面に書体名及び作者名を彫るための道具である。

材料
 早速ホームセンターにて300*φ30の米ヒバ材の丸棒と、ステンの蝶ナットM5*25と蝶ボルトM5と平ワッシャ*2とスプリングワッシャ*1を買ってきた。これで全てである。
 丸棒は長さ130mm程度でよいがそう都合良いものはなかったし、半円にカットすることを依頼できるか確認したが残念ながら無理だと断られたので自分で切ることにした。

二つ割
 糸鋸で切り始めたが意外と簡単ではある。けれども綺麗に切るのは難しい。だが、ある程度見た目が良いものにしたかったら、後で整形するのは手間が掛かるから丁寧な作業が肝心である。
 米ヒバ材は独特の芳香があり、かなりいい感じである。

完成銘彫台
 後は下部を削り、ボルト用の穴を開け、蝶ボルト・ナットを取り付けるだけである。全体からみたら下の端を締め付けるだけなので、駒がしっかり動かないように固定できるか不安だったが心配は無用であった。

駒固定状況
 小学生が芸能人でもないのにサインを考案し練習するように、自分も号を考えて「林月」と決めた。未だ銘を入れる程の腕も自作駒もないが、次世代のホープとして名高い「桐月」さんや、静岡は富士宮市の重鎮である「富月」さんに肖り、更に林にも月にも深い愛着があるからである。
 2作目は日に一枚か二枚しか彫れていないが、慣れてくる実感は嬉しい。
 

posted by 工房藤棚 at 22:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋駒

2017年02月01日

印刀用革砥を作る。

 
 将棋駒を作るときに一番重要な道具は、やはり印刀であろう。印刀を自由自在に操れるようになってようやく一人前である。

印刀
 それから、大切なのが刃物を研ぐ技術である。それはもう車の両輪のようなもので、残念ながら永遠に切れる刃物はない。だから研ぐことが下手な一流の駒師はいない(と思う)。

印刀
 印刀自体は百円均一の物でも、それなりに彫れるという意見もネットでみた。「弘法筆を選ばず」の諺もよく知られている。安い彫刻刀一本を愛用し続けているという有名な方もいて感心した。けれども、それもこれも全てしっかり研いでいることは勿論であろう。

銀面
 自分の思い通りに駒を彫るためには鍛練が必要である。同じように、自分の思い通りに研ぐためには、地道な情熱と時間と感性が欠かせないだろう。

床面
 王道なのか邪道なのか、安易に鏡面仕上げするために印刀用の革砥を作ってみた。端切れの革だけは不自由しないので思い立ったら直ぐである。

金属磨き
 200*150の板に、ヌメ革の銀面(表側)と床面(裏側)を貼り、床面は金属磨き粉を使うので両側にスぺーサーを取り付けた簡単なものである。

ピカール
 随分と古くからある金属磨「ピカール」の効果は絶大で、たちまちピカピカ・ツルツルである。見映えも切れ味も上がるが砥石による研ぎが不要になるわけではない。だが、思いのほか簡単に切れる状態を永く保つ道具として結構有効ではないかと試行錯誤を続けている。
 

posted by 工房藤棚 at 21:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋駒
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